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Report

海外フィールド実習:マレーシアの産業における廃棄物とエネルギー管理
Palm oil mill effluent   Anaerobic pond    
Palm oil mill effluent  

Anaerobic pond

   

場所 : パームオイル工場他(マレーシア)

日時 : 2010年8月25日-9月4日

<学生レポート:利谷翔平>

実習の目的
本実習では、マレーシアの産業における環境とエネルギー問題を明らかにすることを目的とし、パームオイル工場、パームオイル生産に関わる研究所や下水処理場を見学し、現地の技術者や研究者と議論を行った。ここでは、パームオイル生産における廃棄物とエネルギー利用についてまとめた。
結果
パームオイル工場からは、固体廃棄物としてパームヤシの殻、廃液としてパームオイル廃液(図1)が排出される。パームヤシの殻は工場においてボイラーの燃料としてリサイクルされている。一方、パームオイル廃液は非常に高濃度に有機物を含んでおり、環境中へ排出する前に処理をする必要がある。通常、マレーシアでは嫌気性池によるパームオイル廃液の処理が実施されている(図2)。しかしながら、嫌気性池による処理はその過程で温室効果ガスであるメタン(CH4)を大量に排出する。近年、この問題解決の手段の一つとして、可逆流型嫌気性バッフルドリアクター(RABR)による処理試験が実施されている。この反応器はパームオイル廃液を効率的に処理できるとともに、CH4の回収が可能である。CH4は様々なエネルギー源として利用可能であるが、特にパームオイル工場付近のパームヤシ栽培地で活動するトラックの燃料としての利用が期待されている。さらに、RABRによる処理水はパームヤシ栽培における肥料としても利用できる。
考察
RABRによる処理水にはアンモニア(NH4+)が含まれている。NH4+は二酸化炭素の約300倍の温室効果をもつ亜酸化窒素(N2O)の生成に関わる物質である。従って、処理水の利用はパームヤシ栽培地からのN2O排出の恐れがあると考えられる。現地の研究者に話を伺ったところ、N2Oの測定は実施していないということであった。もし、大量のN2Oが排出されている場合、RABRによるCH4排出の削減を相殺しうる。また、嫌気性池の処理水も肥料として利用されているということであった。以上より、パームオイル廃液処理と処理水の利用全体における温室効果ガス排出の調査の必要性が考えられた。

同行教員、同行学生 :
Shin Taniguchi, Masaki Sagehashi, Long Zhao,

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