研究TOPICS

研究テーマは、森林の豊かな生物多様性がどのように保たれているのか、そのメカニズムを解明することです。これは生物多様性の保全、健全な生態系の維持につながります。現在、メインで取り組んでいるのは、ツキノワグマの研究で、20年間に渡る長期野外研究プロジェクトを進めています。これまで150頭以上の生態捕獲を行い、GPSによる行動追跡、生体から取得したサンプルの解析を行いました。個体ベースの長期データは世界的にも貴重なものです。ツキノワグマの生活史や進化などを科学的に明らかにすることで、人間との軋轢を少しでも減らすことに貢献できればと考えています。
私たちの研究は、野外で徹底的に生き物と向き合うフィールドワークが基本です。実際に森の中で生き物を観察するのは容易ではありません。そこで、さまざまな機材を使ってデータを取得します。例えば、赤外線で動物の熱を自動で感知するカメラ、GPSで位置情報を取得できる首輪などを用いて、行動観察をします。最近は、ツキノワグマの首輪に加速度センサーやビデオカメラを装着し、詳細な動きを記録することも可能です。取得したデータは、研究室に戻ってから、AI(人工知能)の機械学習などを用いて解析していきます。例えば、ニホンジカであれば、数十頭分の行動観察データを解析し、行動を予測します。工学部の情報系の研究室との共同研究も盛んです。野外のフィールドワークに加え、最新のデータサイエンスにも挑戦できるのが当研究室の魅力です。
気候変動が深刻化する現在の地球において、人類は自然資源を持続的に利用しつつ、健全な生態系を維持する視点が求められます。そのためにも私たちは生態系での複雑な生物間相互作用を詳しく調べ、次世代に伝えていく必要があります。これからも森と会話するという感覚を大切に、生物多様性の保全に寄与する研究を続けていきます。


農学部 地域生態システム学科
小池 伸介 教授
新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院連合農学研究科資源?環境学専攻修了。博士(農学)。2008年より新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】に着任。現在は大学院グローバルイノベーション研究院教授。
Student's Voice

農学部
地域生態システム学科4年
荒山 由也さん
北海道札幌月寒高等学校出身
ツキノワグマの「こすりつけ行動」の生態的意義を探る研究をしています。木に装着したセンサーカメラの撮影データを解析し、自ら立てた仮説を検証します。卒業後は大学院で研究を続ける予定です。

大学院農学府農学専攻
自然環境資源コース修士1年
牧野 珠子さん
神奈川県立鎌倉高等学校出身
ツキノワグマの秋から冬にかけての移動を調査しています。約50 頭分のGPS データを分析した結果、年齢を重ねると移動が直線的になることがわかりました。山の調査が楽しく、今後も続けていきます。

大学院連合農学研究科
博士課程1年
佐藤 華音さん
神奈川県立厚木高等学校出身
動物が植物の種を運ぶ現象を研究しています。タヌキ、アナグマ、ハクビシンなどの剥製でシミュレーションを行い、論文を書きました。博物館の学芸員として、動植物の研究を続けていく予定です。
※掲載内容は、2025年3月取材時のものです。