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2009年12月17日:いもち病菌を弱毒化するパン酵母を開発

いもち病菌を弱毒化するパン酵母を開発のご紹介です。

平成21年12月17日
独立行政法人新エネルギー?産業技術総合開発機構
国立大学法人 新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】



いもち病菌を弱毒化するパン酵母を開発

NEDOの産業技術研究助成事業の一環として、新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院 共生科学技術研究院 生命農学部門の森山裕充講師は、パン酵母を当該マイコウイルスの散布剤として利用することで、安全性が高く、イネいもち病菌を弱毒化できる環境調和型マイコウイルス(注1)の分離技術を開発しました。これまで微生物農薬の弱点であった、生産性の低さ、散布方法の煩雑製、長期保存の困難性の諸問題を克服する技術です。パン酵母を用いることから安全性が高く、環境調和型の生物防除資材としての実用化が期待されます。

図1 新しく開発した環境調和型マイコウイルスを用いた生物農薬の開発

図1 新しく開発した環境調和型マイコウイルスを用いた生物農薬の開発

パン酵母の高い安全性を利用した新たな生物防除資材の開発を開発し、さらにパン酵母の高度な製品管理システムを利用して、微生物農薬の問題点を克服します。

(注1)マイコウイルスとは、2本鎖RNAをゲノムとする菌類ウイルスの総称

1. 背景及び研究概要
新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】では、食料、家畜飼料及び石油代替原料となる植物バイオマス資源として増産も検討されているイネの生産性向上に貢献することを目指しています。植物病理学分野と酵母発酵工学分野の技術融合を図り、稲作に重大な被害をもたらすイネいもち病菌を弱毒化するマイコウイルスを新たな生物防除資材として活用する技術です。
菌類に広く存在するマイコウイルスは2本鎖RNAをゲノムとし、その大半は潜伏性ですが、中には宿主菌の生育を抑制して病原性を著しく低下させるマイコウイルスも存在します。しかし、イネいもち病菌やアルタナリア菌では病原性低下の要因となるマイコウイルスは未だ見つかっておらず、その防除法への応用例も未だ報告はありません。そこで、新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院 共生科学技術研究院 生命農学部門が保有する、パン酵母中で発現し増殖できる特殊な技術を駆使して、イネいもち病菌やアルタナリア菌の生育抑制をもたらすマイコウイルスを分離することに成功しました。パン酵母を当該マイコウイルスの散布剤として利用することで、安全性が高く、環境調和型の生物防除資材としての実用化が期待されます。

2. 競合技術への強み
この技術には、次のような強みがあります。
(1)微生物農薬の弱点を克服
パン酵母のインフラ、製造、品質管理技術を利用することで、これまでの微生物農薬の3つの弱点を一機に克服します。
a. 高い生産性
数トン以上レベルの大量生産が可能になります。
b. 簡便な散布方法
粉末形態なので粉砕工程を必要としません。懸濁するだけで広範囲に散布することが可能となります。
c. 長期保存可能
2年~3年間常温保存可能(脱酸素剤)程度の保存が可能(市販のドライイースト基準)。
(2)唯一無二の技術
イネいもち病菌弱毒化ウイルスはこれまで報告がなく、したがって比較する競合技術がありません。

3. 今後の展望
新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】では、以下の課題に対し、生物農薬の研究開発に実績のある/生物発酵の技術などに知見?興味のある企業?組織との意見交換や試作サービス、委託研究などを提案します。
(1)パン酵母におけるマイコウイルスタンパク質の安定発現
(2)マイコウイルス生産の低コスト化

現在は、農薬関連の分野に特化して研究を進めていますが、将来的には医薬分野(高度に発達したパン酵母の遺伝子工学技術を生かした抗ウイルス薬の開発など)へと発展させることも目標にしています。

4. 研究者(森山裕充(ひろみつ)講師)の略歴
1991年 新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】農学部蚕糸生物学科卒業
1996年 新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】連合農学研究科生物生産学専攻博士課程修了
1996年~1999年 日本学術振興会?特別研究員
1998年~2000年 米国国立衛生研究所 客員研究員
2000年~2003年 東レ株式会社 研究員
2003年~2004年 独立行政法人産業技術総合研究所 研究員
2004年~2006年 新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院共生科学技術研究部 講師
2006年~ 新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院共生科学技術研究院 講師

5. お問い合わせ先
(本プレス発表の内容についての問い合わせ先)
新万博体育_万博体育官网-【官方授权牌照】大学院 共生科学技術研究院 生命農学部門 細胞生物学研究室 講師 森山裕充
TEL&FAX 042-367-5622
E-mail hmori714@cc.wxanhx.com
研究室HP http://web.wxanhx.com/~mcb/
(NEDO制度内容についての一般的な問い合せ先)
NEDO 研究開発推進部 若手研究グラントグループ 岸本、松崎、千田、長崎
TEL 044-520-5174 FAX 044-520-5178
個別事業HP 産業技術研究助成事業(若手研究グラント)
(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO 広報室 坂本、萬木(ゆるぎ)、田窪
TEL 044-520-5151

資料

新聞等掲載状況

平成21年12月18日 日経産業新聞
平成21年12月18日 日経BP社Biotechnology Japan(Web)

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